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インタビュー・ストーリー(People / Story)

森から暮らしへ――宇陀の山を磨き続けて約100年。森庄銘木産業が紡ぐ、木と人の物語(森庄銘木産業株式会社)

いいもの宇陀なら
森庄銘木産業株式会社:森本達郎氏/優子さん

山を育て、磨き、届ける。森庄銘木産業という仕事

「森庄銘木産業株式会社」森本達郎氏

「森庄銘木産業株式会社」森本達郎氏

奈良県宇陀市。冷たい風が山肌を抜け、寒暖差のある高原地帯に拠点を構えるのが、森庄銘木産業株式会社だ。創業は1927年。間もなく100年を迎える老舗であり、磨き丸太を中心に林業とものづくりを両輪で続けてきた。

「森庄の“銘木”は、いわゆる磨き丸太のこと。和室の床柱として使われる、木材のなかでも美しさや個性が際立つものです」と語るのは、4代目として家業を継ぐ森本達郎さん。
まっすぐで質のよい丸太を生み出すには、山から育てなければならない。そう考え、創業当初から林業と加工を一体で行ってきた。

森庄が管理する山は奈良県と三重県にまたがる。「山守」という考え方が色濃く残る地域で、山主から山を預かり、手入れをし、木材として世に送り出す。その営みは、単なる木材生産ではなく、長い時間軸で自然と向き合う仕事だ。


教師から林業の世界へ。言葉と森をつなぐ存在

元国語教師という異色の肩書を持つ優子さん

元国語教師という異色の肩書を持つ優子さん

「もともとは中学校の国語教師でした」と語るのは、妻であり同社で広報や地域連携を担う優子さん。
結婚後、ウッドショックやコロナ禍をきっかけに家業を手伝うようになり、2年前に入社した。

「国語で教えていた『春はあけぼの』の世界観と、森づくりってすごく近いと思うんです。日本人が感じてきた四季や自然へのまなざしを、木や森を通して伝えていける仕事だなと」

学校が地域の中心だった経験、廃校を見てきた原体験も、今の活動につながっている。現在は「森と学び事業部」として、木工体験や森林教育、出前授業なども行う。
ゲーム感覚で木材や製材を学ぶプログラムは、子どもたちからも「楽しかった」「またやりたい」と好評だ。


「誰かがやらないと」22歳で継いだ決意

達郎さんは次男。もともと跡継ぎになる予定ではなかったという。
「大学時代、震災ボランティアなどを通じて、地域で生きる大人たちに出会いました。課題意識から行動している人たちが、すごくかっこよくて」

宇陀という地域を調べるほど、林業の厳しい現実が見えてきた。「これは誰かがやらないといけない」。そう思い、22歳で「継がせてください」と家族に伝えた。


森林プランと“当事者感”

山という自然を相手にすることの重要性を語る

山という自然を相手にすることの重要性を語る

林業家として大切にしているのは、バランス感覚だという。
「経済性、環境負荷、山主さんの思い。その全部を考えながら森林プランを立てています。自分たちの仕事は、良くも悪くも次の世代に残る」

一方、優子さんは「山を“自分事”として捉えてもらうこと」を使命と考えている。
「海はみんなのものだけど、山は誰かのもの。だからこそ、持ち主の意識がないと守れない。今は持っていなくても、いつか受け継ぐ可能性がある。その想像力を持ってほしいんです」


冬だけにつくられる磨き丸太

ふるさと納税返礼品のラインナップ

ふるさと納税返礼品のラインナップ

磨き丸太の生産は冬が中心。
「すすきの穂があがったら切れ、と祖父は言っていました」と優子さん。
夏に育った木を秋に伐り、冬の冷たい水と砂で磨く。ヤスリではなく、川砂と水で磨くことで、木が本来持つ油分が表面に現れ、塗装なしで艶が生まれる。

宇陀と京都・北山が磨き丸太の二大産地とされる理由も、寒さと風。寒暖差と風通しのよい地形が、木を美しく仕上げる。


触れて初めてわかる価値

自然の形を残したポールハンガー

自然の形を残したポールハンガー

「今はわかりやすさが求められる時代。でも磨き丸太は、触れてもらわないと伝わらない」と達郎さん。
年輪の美しさ、すべすべとした手触り。その魅力は写真だけでは伝えきれない。

床柱だけでなく、スツールやポールハンガー、身長計など、現代の暮らしに合う形へ展開しているのも特徴だ。出産祝いや新築祝いとして選ばれることも多い。


森から暮らしまでをつなぐ未来

製材所で従事する職人さん

製材所で従事する職人さん

今後は製材所の事業継承や乾燥設備の導入にも取り組む予定だという。
「育てた木を、暮らしで使いやすい品質と価格で届けたい」。
優子さんも「家具から空間全体まで提案できるようになれば、“森から暮らしまで”が本当につながる」と語る。


仕事と暮らし、その先に

森を育て、物語を磨き、人の暮らしへ

森を育て、物語を磨き、人の暮らしへ

忙しい日々のなかでの癒やしは、家族の存在。
「仕事に没頭しすぎると怒られますが、子どもたちの笑顔で全部報われます」と達郎さん。
「子どもと遊ぶと、目線が変わる。それが仕事にも活きている」と優子さん。

森庄銘木産業の仕事は、木を売ることではない。
森を育て、物語を磨き、人の暮らしへと手渡していくこと。その積み重ねが、次の100年をつくっていく。

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